過酷な労働環境で働く人に伝えたいこと

 「天職に就きたい」と多くの人が思うものだが、実際、天職に就いていると自信を持って言える人はあまりいないだろう。中には天職とは到底思えないほどハードな状況でも、必死に我慢して続けている人もいる。それに関しては、仕事とは苦しいものであり、対価として給与をもらうものだという考えを持つ人が多いのも関係しているように思う。もちろん転職とはリスクが伴うものだ。しかし、自分が追い込まれるほどにきつい思いをしているのなら、どうか天職を探すことをやめないでほしい。

 労働環境の悪い中で仕事を続ければ、次第に心身が疲弊してしまう。消耗し切ってしまうと、仕事自体をすることが難しくなり、いずれリタイアせざるを得ない状況に陥ってしまう。ストレス過多になると、うつ病や身体疾患などの病気を誘発してしまう。それを防ぐには、早い段階で自分の限界に気付き、すぐさま転職を検討することが重要になる。しかし現実には、過酷な労働環境にも関わらず、疲弊しながら働き続けている人は多くいる。そういった人に見られるのが、その状況に適応してしまっているケースだ。それはすなわち、過酷な労働環境に慣れ、感覚が麻痺してしまい、自分を内観することさえもできない状況を指す。

 当の本人が自覚していなければ、周囲は助けの手を差し伸べられず、深刻な事態に陥りかねない。こうした状況を防止するには、日頃から自分と向き合い対話するセルフチェックの習慣を持つことが重要だ。その際、毎日日記を書いたり、頭の中をそのまま書き出すブレインダンプをしたりと、客観的に疲労度を分析できるノウハウを利用するといいだろう。

 また、過酷な労働環境で働き続ける人が抱えているのが、仕事が見つからない不安だ。仕事を失うリスクを負うくらいなら、我慢して続けた方がまだ安心という思考になっているパターンがよく見受けられる。そんな人にぜひ言いたいのが、時間や手間をかけてでも天職探した方が良いということだ。心身を病んでしまえば回復に時間がかかり、働くどころではなくなってしまう。心身共に疲弊しているのなら、一度立ち止まり、理想的な働き方は何かを熟考することが大切だ。